「協働のまちづくり市民会議×熟議2019」 実施要項
- ■テーマ:あなたが参加したいまちづくり活動って何?~まちづくり活動を一緒に考えよう~
- ■背景:
- ■対象地域: 加古川市
- ■参加者の募集:
- ■兵庫大学熟議手法:
- ■ファシリテーター:
- ■日 程:
- ■議論の内容:
- ■会場: 兵庫大学内
「加古川市協働のまちづくり基本方針」が平成31年3月に策定されました。基本方針には、「市民一人ひとりが、自らが思い描くまちや暮らしの姿の実現に向けて、まちづくりに参加し、活躍することで、満足感や生きがいを感じ、人が輝くまちを目指します」とあります。
市民によるまちづくりは、多くの自治体で使われる言葉です。この文中に用いられる「市民」は、例えば加古川市在住の住民という「加古川市」民ではなく、自由を得て政治に参加し、必要な保護を受けることのできる自立した個人というステータスの「市民」を指します。市民というステータスを得ることは容易ではなく、市民には、諸権利とともに義務も生じると考えられます。つまり、まちづくりに市民が参加するとは、市民という称号についてまわる義務の一部といえるかもしれません。
では、市民によるまちづくりとは、どのようなものでしょうか。まちには様々な人々が集まり、活動し、生活を支え、そして共に時間を過ごす場です。人々があってまちがあり、人々のためにより良い場を共に形成することがまちづくりの前提になっています。同時に、まちが多数の人々の公(おおやけ)の場であるが故に、個人の想いがぶつかるだけではまちづくりは進まず、諸権利を有する市民が互いを尊重して調整しながらまちづくりを推進しなければなりません。
以上から、市民によるまちづくりとは、市民はまちづくりに参加する義務を抱え、市民であるがゆえにまちづくりへの参加が可能である、との二つの意味を有していることがわかります。
このような背景があってか、主に21世紀に入って後、市民参加型のまちづくりの試みが各地で進んでいます。実際には市民がワークショップなどに参加して、議論をする方法が採用されています。ところが、市民がまちづくりに参加することの意義が十分に浸透をしていないこともわかってきました。理由の一つには、市民がまちづくりの主役となっていないことがあります。※
※まちづくり三法のうち「都市計画法」では、住民の責務として「都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力」すると定め、また「中心市街地の活性化に関する法律」では「地方公共団体、地域住民及び関連事業者が相互に密接な連携を図(る)」とされています。つまり、いずれも住民(市民)は協力者であり主役ではないのです。
まちづくりを考える時、市民が主役であると思われないのは、「より良い場づくりを目指す」、イコール、「課題を解決すること」との思い込みもあるのかもしれません。事情は加古川市も共通しています。「加古川市協働のまちづくり基本方針」の策定目的には、「多様化・複雑化する社会・地域課題を解決し、みんなが生き生きと暮らせるまちをつくるため」とあります。課題を解決する主役は、まだまだ行政にあると思ってしまうのです。市民と行政に参加をしてともに課題を解決する、との思いになるにはもう少し時間がかかるでしょう。
そして、現在にあって、課題解決型のまちづくりだけではなく、資源基盤型のまちづくり(Asset Based Community Development)も模索されるようになっています。資源を探し、それを基盤として開発して、より良い場づくりを目指すまちづくりは、まち(地域)の良さを知り、資源のありかを的確に指摘する市民の参加が欠かせないことは明らかです。今回の協働のまちづくり市民会議では、新しい方向性のまちづくり、すなわち資源基盤型のまちづくりを考えます。
こうした資源基盤型のまちづくりの考え方に基づいて、市民が参加したくなるようなまちづくりの機会を設けたい、これが協働のまちづくり市民会議の最初のステップになります。
さて、前述のように、市民が参加するまちづくりではワークショップ方式が一般的です。資源基盤型のまちづくりを目指す場合、参加者は事前に、どのような資源があるのか調べておいたり、考えておいたりする必要があります。市民は、義務として参加し、自立した意見を展開するためにも情報収集やフィールドワークなどを含む事前の熟慮の段階を踏まえてワークショップに臨みます。
この一連の事業は、兵庫大学が平成24年度より毎年実施をしている熟議に通じるところがあり、市民会議では兵庫大学熟議手法を採用することとしました。
一般の方:
参加者の偏りを無くすために、市内全域を対象とする無作為抽出方式を採用します。加古川市内在住者を対象として、参加候補者1,500名を選定、うち承諾者を参加予定者とします。
高等学校生:
加古川市教育委員会の協力を得て、加古川市内の高等学校、及び周辺の高等学校から参加者の推薦を受け付けます。周辺の高等学校からは、加古川市内の在住者を中心に推薦するように依頼します。
大学生:
兵庫大学生から推薦を受け付けます。
協働のまちづくり市民会議は兵庫大学熟議手法を採用します。熟議手法は、事前と当日、事後の三段階に分かれています。
①熟慮の段階は、議論に至るまでにテーマについて知り、調べ(フィールドワークを含む)、考える機会です。協働のまちづくり市民会議への参加者が、等しく一定以上の知識をもって議論当日を迎えるための事前学習は、限られた時間の中で、かつ経験値に差がある幅広い世代の方が参加する兵庫大学熟議の性質を鑑み、議論を深める上で不可欠です。
②議論の段階は、熟慮の成果をグループワークで討議をする場面です。
③共有は議論の成果を報告し、結果を共有し、参加者の互いの理解を深めることが目的です。これまで共有のためにはポスターセッション方式、オークション方式などを用いてきました。今回の協働のまちづくり市民会議での振返りについては、今後検討をいたします。
④振返りは、討議型世論調査により、事前段階での政策に関する考え方と、議論の後での変化を質問紙調査により検証することです。
そして、⑤の活動は、振返りの際の調査結果や議論の成果を踏まえて、協働のまちづくり市民会議の提言に繋げます。
議論の段階でのワークショップでは進行のためのファシリテーターが必要になります。ファシリテーターは兵庫大学生から選抜し、ファシリテーションの手法とまちづくりに関する考え方を含めて、研修を行い、当日に備えます。
参加者募集期間 | 令和元年6月1日(土)~6月19日(水) | |
ファシリテーター研修 | 令和元年 6.7月中に5回実施 ※1回あたり1.5時間程度。内容に関する研修を含む |
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熟議 | ①熟慮 | 熟慮講演会 令和元年7月13日(土) 13:00~14:30 熟慮期間 令和元年7月16日(火)~8月21日(水) |
②議論・③共有 | 令和元年9月1日(日) 10:00~16:00まで | |
④振返り | 令和2年3月末(報告書提出予定) |
議論の段階では、2つの内容のワークショップを実施します。
第1段階の議論 地域の資源を活用してめざすまちの姿とは
熟慮を踏まえ、まちにある資源を活用して、皆さんが実現したいまちの姿を議論します。資源はまちのどこにあるか(Where)、何がまちづくりに役立つ資源になるか(What)、誰が(Who)、どのように(How)それを見つけ磨き、まちづくりにむすびつけるか、を熟慮した結果を持ち寄り、この段階での議論で、皆がめざすまちづくりの方向性を皆で共有します。
第2段階の議論 まちづくりのための市民の参加とは
第1段階の議論を踏まえて、まちづくりの実現に向けた議論を行います。めざすまちの姿を実現するためには、多くの方の参加、連帯、協力が必要になることでしょう。その姿を共有しているからこそ、では、どうすれば多くの人が参加することができるのか、その仕組みを考えることができます。その中では、参加した市民の役割や市との協働についても議論が深まることでしょう。