お知らせ
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2025.10.01
【2024年度Ⅰ期】兵大グッド・プラクティス賞受賞者からのメッセージ
「2024年度Ⅰ期 兵大グッド・プラクティス賞受賞について」
受賞者からのメッセージをお届けします。
【講義科目 小規模部門】(履修者15人〜35人まで)
「初等⽣活科教育法」(対象学科:教育学科)
關 浩和 教授

本科目「初等生活科教育法」は,小学校教諭一種免許状を取得するために取得しなければならない各教科の指導法に係る必修科目の一つで,2年次に設定されている。生活科の性格,目標,方法といった教科を構成する原理について学ぶとともに,生活科が領域とされている社会,自然,人々とのかかわりの認識を通して,自立への基礎を養う教科として生活科を捉え,生活科の基礎理論の習得及び授業実践の分析,授業計画作成の方法を理解することを目的としている。
授業では,小学校低学年に設定されている生活科の教科内容について,1年次で学んだ「初等生活科内容論」とリンクさせている。1年次に生活科の教科理念を再度確認した上で,生活科の性格や目標,内容,授業構成の仕方,学習計画の立案,評価の方法などについて,受講生自身が模擬授業を実施することを通して,生活科の授業づくりに関する基本を学ぶことになる。通常の教科教育法の授業では,5名程度のグループに分けて,共同立案という形で,代表者が模擬授業を実施することが多い。しかし,本科目では,受講生一人一人に,自分の興味のある単元を選択させ,その単元に関わる教材研究を課し,生活科学習指導案や板書計画を立案して,模擬授業をすることを課している。そのことで不安になる学生もいるが,学校現場では必ず一人で組まなければならない。グループで実施すれば参加に消極的な学生やグループ活動に埋もれてしまうことも多い。
本科目では,模擬授業後の達成感が得られることを重視して,一人ですべての授業づくりのプロセスを経験させながら,教員は,個々の学生のサポートを心がけることにする。基礎教科である国語科や算数科では,ある程度,教科内容や教科指導の方法は,暗黙知レベルではあるが,受講生は理解していると思われるが,体験的活動が,中核となる生活科授業の指導法は,なかなか学生は想像できないのが実情である。そのため,学校現場で実際に行われている授業の動画や,これまで過年度生が実施した模擬授業の動画を視聴してもらうことで,生活科に対するイメージを可視化して把握して,自分の模擬授業に取り入れるように配慮する。その結果,全員の学生が,模擬授業をする経験をすることで,決して自分で授業成果を満足できるような授業はできなかったと思われるが,生活科に対する授業づくりの難しさを体感できたことで,何より自分の明確な課題が明らかになり,今後の教育実習での授業への心構えや積極的な意欲が出てきたことは学生の評価からも大きな成果である。
【講義科目 中・大規模部門】(履修者36人以上)
「看護学概論」(対象学科:看護学科)
⼤橋 久美⼦ 教授

このたび「FDグッドプラクティス賞2024年度Ⅰ期(中・大規模部門)」を受賞した「看護学概論」は、看護学科1年生を対象とした必修科目です。本科目は、看護の基本概念を学び、今後の看護実践の土台を築くことを目的とした導入科目であり、看護の歴史や理論、対象となる人間の理解、看護職に関わる制度や倫理など、幅広い内容を体系的に学びます。
高校を卒業したばかりの初学者ということを意識し、専門的な内容をわかりやすく伝えるために、一般の人にも通じる言葉を選びながら説明を行い、「自分が考える看護」を重視した教育方針を採用しています。学生が主体的に学び、自らの看護観を形成できるよう、初学者の視点に立った授業設計を心がけています。
授業では、シャトルカードによる出欠・感想の記録、事前・事後学習を促すワークシート、小テストによる知識の定着、レポート課題による思考力の育成など、多面的な評価と学習支援を行っています。特に、闘病記を題材としたレポート課題では、患者の視点に立って考える力を養い、看護の本質に迫る学びを実現しています。
また、Z世代を中心とした多様な学生への理解を深めるため、「認める・ほめる・指摘は最後に」という対話的な姿勢を大切にし、学生の事情に寄り添いながら学習意欲を引き出す工夫をしています。課題がうまく進まない学生にはまず話を聞き、どうすればできるかを一緒に考え、学生自身が決めたことを尊重して進めるよう心がけています。
今回の受賞は、こうした授業の取り組みに対して、学生アンケートにおいて「とてもわかりやすかった」「看護の歴史や考え方を深く学べた」「レポートを通して文章力がついた」など、多くの前向きな声が寄せられたことが評価された結果であり、教育者として大きな励みとなるものです。
そして何より、厳しく責任の重い職業である看護職を目指し、真剣に学びに向き合っている学生の皆さんに深く敬意を表します。人の命と生活に寄り添う看護の道を選び、悩みながらも前に進もうとする姿勢に、私自身も多くの学びと力をもらっています。こうした学生たちと共に学びを築けることは、教育者としての誇りであり、心からの感謝の想いです。今後も、学生一人ひとりの可能性を信じ、看護専門職としての成長を支える教育を目指してまいります。
【講義科目以外】履修者15人以上
「教育実習指導」(対象学科:こども福祉学科)
礒野 久美⼦ 准教授

「教育実習指導」の授業は、保育者としての基礎的な力を育むことを目的に、理論と実践を往復しながら学びを深める構成としています。教育の基本方針は「子ども理解を基盤とした保育実践力の育成」であり、特に子どもの発達や気持ちに寄り添う姿勢を重視しています。具体的には、観察記録やDVDを活用して子どもの行動の背景を読み取る力を養い、模擬保育では子どもの視点に立った関わり方を体験的に学びます。また、実習後の振り返りでは、子どもとの関係性の中で得た気づきを共有し、保育観を深める機会を設けています。こうした学びを通じて、学生が子ども一人ひとりの存在を尊重し、柔軟かつ温かく関われる保育者へと成長することを目指しています。本授業では、実習に向けた準備や知識の伝達にとどまらず、子どもとの関わり方や保育現場での対応力を育むため、以下の3つの工夫を行っています。
1.実践的なロールプレイの導入
2.振り返りとフィードバックの重視
3.保育記録や多様な教材の活用
たとえば、保育場面を模擬的に再現するロールプレイでは、学生が保育者役・子ども役・第三者としての観察者に分かれて取り組みます。保育者役と子ども役は、実際の保育を体験することで、言葉かけや態度の重要性を実感します。観察者は、保育者の動きや子どもの反応を記録し、客観的な視点からフィードバックを行います。学生からは、「子ども役をしてみて、保育者のちょっとした声かけや表情が安心感につながることを実感しました。実習でも"見守る"ことの大切さを意識したいです」との声がありました。
・受賞した感想、授業への思い、学生への一言
このたびは、「教育実習指導」の授業に対して光栄な評価をいただき、心より感謝申し上げます。学生の皆さんが真摯に学び、実習に向き合ってくれたことが、このような形で実を結んだことを大変うれしく思います。本授業では、模擬保育や振り返りを通して、学生一人ひとりが自分らしい保育者像を見つけられるよう心がけてきました。保育は"正解のない営み"ですが、子どもと向き合う中で生まれる気づきや葛藤こそが、学びの原点だと信じています。学生の皆さん、これからも子どもたちの声に耳を傾け、まなざしに寄り添いながら、温かく、しなやかな保育者として歩んでいってください。皆さんの未来を心から応援しています。
【講義科目以外】履修者15人以上
「調理学実習Ⅱ」(栄養マネジメント学科)
栗⼭ 磯⼦ 講師

このたび、学生による授業アンケートに基づき「グッドプラクティス賞」をいただくことができ、大変光栄に思います。学生の学びに対する姿勢や、授業への真剣な取り組みがこのような評価につながったことに、感謝の気持ちでいっぱいです。今後の授業づくりの大きな励みとなりました。
〈授業や教育に対する基本方針〉
調理学実習の基本方針は、科学的になぜそうするのかを理解して効率よく再現性のある料理をつくるための基本的な知識と技術を修得すること、さらに献立構成を理解し献立作成ができるようになることです。専門知識の修得はもちろんですが、それを実際の調理でどう活かすか、どのように応用できるかを考える力を育むことが、大切だと考えています。
〈授業方法・運営の特徴や工夫〉
授業運営においては、「調理を通して学ぶ」ことを重視し、知識の定着だけでなく、応用力・思考力を養う工夫を取り入れています。たとえば、調理を行う前と後の栄養価を提示し、加熱などの調理操作による栄養価の変化を考察する機会を設けています。教科書の内容を「自分で実践し、確認する」経験につなげることで、学びがより深く根づくようにしています。また、グループ内での意見交換を通して自らの理解を言語化する力や他のグループからのアドバイスを受けることで他者の考えを受け止める力の育成にも力を入れています。
〈授業展開の時間配分〉
実習時間は2コマ180分です。時間配分については、導入30分でその日の学習目標を提示し、視覚教材を活用した知識のインプットを行います。続く90分ではその知識を活かした調理を行います。その後30分で試食を通してグループ内外で意見交換を行い、最後の30分で課題整理と質問できる時間を設けています。
今後も、学生一人ひとりが「わかる」から「できる」へと成長できるような授業づくりを大切にし、専門職としての実践力を養うよう努めてまいります。このたびの受賞を励みに、さらに質の高い教育実践を積み重ねていきたいと考えています。
以上
